弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年7月 1日

心の傷を見つめて

出版社:新日本出版社
 女性精神科医のレポート。とても勉強になった。いろいろ思いあたるところがあった。
 人間は常に心に葛藤を抱えながら生きていて、いろいろな問題に対して、どうしようかあれこれ悩みながら生きている。そうした悩みを抱えたとき、たとえば夫婦の間に葛藤があっても、成人した人間同士として話し合い、コミュニケーションをとりあって、夫婦自身の問題として解決する。こうした基本線が保たれていれば、親と子の境界線がきっちり守られているため、子どもたちは「家」に安全性を感じられるし、楽に家を出て世の中に巣立つことができる。親の安定した関係を自然に内在化して、安心できる。
 ところが、親が、夫婦間で問題を解決できずに、自分たちの心の中にまで世代の「境界線」を越えて入りこんでしまうと、親子の境界線が複雑に入り乱れて曖昧になったり、破られてしまい、家族の誰とどのように接していいのか分からなくなってしまう。このような家庭を「網の目家族」と呼ぶ。こうした家庭では、子どもが思春期に入るころにいろいろな問題行動を起こしやすい。
 その行為は、家庭内暴力、ひきこもり、薬物乱用、夜遊びなど、さまざまだが、いずれも子どもの発する「こんな家庭は嫌だ」というサイン。うーん、なるほど・・・。

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