弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年6月 1日

真相・中村裁判

出版社:日経BP社
 この本を読んで、特許法35条というものを初めて知りました。従業員が発明した特許には、自由発明と職務発明の2つがあります。業務範囲内にあり、職務に属する発明を職務発明といい、それ以外を自由発明といいます。
 特許法は、職務発明について、特許を受ける権利は発明者である従業者に当然帰属するものとして従業者の権利を確保しながら使用者の寄与も考慮して、その特許権について通常実施権を有することにし、両者の利害を調整しています。
 日亜化学につとめていて高輝度の青色発光ダイオードを発明した中村修二氏は、自己の特許権を会社に譲渡していないと主張したのですが、昨02年9月19日、東京地裁は中間判決で中村氏の特許権は会社にあるとしました。この本は、その判決を批判したものですが、読んでみると、なるほどと思うところがありました。
 日亜化学は、この発明によって2000億円ほどの世界市場を獲得したのだから、中村氏の請求額20億円でも安いという主張です。金額の大きさには驚かされます。

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