弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年6月 1日

ストレス専門医の処方せん

出版社:昭和堂
 サラリーマンが毎朝読んでいた朝刊を数日間読みたくないという状態が続いたとき、軽症のうつ病にかかっている。これを朝刊シンドロームと言います。
 私は、自宅では朝刊2紙を毎朝丹念に読んでいます。ところが、ホテルに泊まると、どうしても1紙を軽くしか読めません。自宅に夜帰ると、さらに別の朝刊2紙をじっくり読むのですが、ホテルではそれもできません。逆の朝刊シンドロームです。
困ったことに世の中の動きが、もうひとつぴったり来なくなるのです。
 この本は私の同級生、徳永雄一郎医師の最新刊です。日本の年間の自殺者が3万人をこえ、私と同世代の50歳代の男性が急増しています。遺書を残した1万人の自殺動機調べでは、健康問題が41%、経済生活問題が30%となっています。
 私は、この4月以来、たて続けに3件、自殺がらみの事件を受任しました。たいていは相続放棄なのですが、一件は自殺した方のかけていた生命保険金を元手に借金を整理しました。仕事とはいえ、あまり気持ちのよいものではありません。
 不知火病院には有名なストレス病棟がありますが、13年間で、1700人の入院患者のうち、入院中の自殺はわずか5例だったとのこと。うつ病は治るんですね。ストレスとうつ病、そして自殺に関心のある方におすすめします。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー