会長日記

2017年5月1日 弁護士会は何をしている団体なのだろう

会長 作間 功(40期)

1 弁護士会の種類

全国の都道府県には、それぞれに弁護士会があります。したがって、九州・沖縄には、福岡県弁護士会をはじめ、県別に合計8つの弁護士会があることとなります。ただ、北海道と東京は例外で、北海道は4つの地区に分かれ、それぞれに一つの弁護士会が、東京は、地区に関係なく3つの弁護士会があり、個々の弁護士は都内3つの弁護士会から一つを選んで入会する、ということとなります。

このほか、九弁連と日弁連という団体があります。九弁連は、正式には九州弁護士会連合会といい、九州各県の弁護士会の集合体、日弁連は、正式には日本弁護士連合会といい、全国の弁護士・弁護士会の総元締です。

弁護士は、弁護士会に所属しないと弁護士活動を行うことができません。その点で、例えば、お医者さんが、医師会に入らなくても医師として業務できるのと異なります。その意味で、弁護士会は、強制加入団体と言われています。

2 福岡県弁護士会の規模

さて、福岡県弁護士会に所属している弁護士数は1248名(平成29年4月11日現在)。そのうち、福岡市及びその周辺地区で914名(うち女性は167名)、北九州地区で202名(32名)、筑後地区で95名(16名)、筑豊地区で37名(3名)となっています。全国では、東京3会、大阪、神奈川、愛知に次ぎ、7番目の人数です。

3 弁護士会は何をする団体なのか

今回のテーマである「弁護士会は何をしている団体なのか」という点を理解してもらうため、その昔、私が司法修習生~司法修習生というのは、司法試験合格後、弁護士・裁判官・検察官の卵として修業中の身をいいます~だったとき、弁護修習でお世話になった師匠というべき弁護士の言葉をご紹介しましょう。師匠曰く、「弁護士は1日を3つに分けて使うものだ」「3分の1はお金をいただく仕事に、3分の1はプライベートに、残り3分の1は公益活動だ」ということでした。「お金をいただく仕事」というのは、依頼者のために、裁判をし、法律相談にのり、調査を行い報告書を書き、あるいは社外の取締役や監査役としての業務、などです。「プライベートの時間」というのは、説明するまでもなく、家族と過ごす時間、あるいは趣味の時間のことです。ここまでは、仕事と家庭ですので、一般のサラリーマン、公務員、自営業者の方と同じだと思いますが、大きく異なるのは、残りの「公益活動」の部分です。
「公益活動」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

弁護士の中には、例えば、公害環境事件や消費者事件、あるいは冤罪事件・再審事件をはじめとする難解な刑事事件などに取り組む者がいます。こうした事件は、弁護士が手弁当で従事することとなる例が多いので、公益活動といってよいでしょう。

また、弁護士は、法律の専門家としての識見を期待され、様々な団体の委員等の就任を要請されることがしばしばあります。審議会委員、協議会委員、審査委員、評議員、理事、監事、等々です。弁護士は、弁護士業務の合間を縫って、こうした会議に参加することになります。これらは、特段の報酬はいただかないものが多いのですが、弁護士が「公益活動」の一環として引き受けているものです。

以上のほか、ほとんどの弁護士は、弁護士会から、弁護士会内に設置している委員会の委員を委嘱されます。福岡県弁護士会の委員会の数は70弱で、こうした委員会に、当会の弁護士は、一人3~5つくらい委嘱され、活動を行うこととなります。これがほとんどの弁護士が従事することとなる「公益活動」のメインです。

弁護士会は、各種委員会を組織し、弁護士を配置し、弁護士・委員会をバックアップし、全体を管理・運営していく、という役割を果たすこととなります。

4 委員会活動

代表的な委員会として、人権擁護委員会と中小企業法律支援センターを例にとってお話しましょう。

人権擁護委員会は、弁護士会に寄せられる人権救済申立事件について調査を行う委員会です。委員による調査の結果、人権侵害が認められる場合、人権侵害を行っている者(相手方)等に対し、警告・勧告・要望、等の措置をとります。近時では、昨年12月、福岡刑務所に対し、受刑者である申立人が福岡刑務所を被告とする国家賠償請求訴訟を提起した後、福岡簡易裁判所における口頭弁論期日への出頭を不許可としたことは、受刑者にも保証されるべき裁判所に出廷する権利の侵害であるとして、原則として受刑者の出廷を許可する取扱いに改めるよう勧告しました。

中小企業法律支援センターは、中小企業の法的支援活動を通じて、中小企業の経営者、小規模事業者、中小企業支援機関・団体の方々に、企業の円滑な運営に必要な弁護士の役割や存在意義を認知してもらうために設置された委員会で、福岡県弁護士会が設置しているひまわりほっとダイヤル(経営者のための電話相談)の運営や、「創業支援」「事業承継」「事業再生」といった分野ごとの実践活動、企業向けセミナー・研修会への講師派遣を行っています。

弁護士会の委員会の詳細は、福岡県弁護士会のホームページの「弁護士会の活動」の中で紹介されていますので、興味をもたれた方はクリックしてみてください。

さて、こうした委員会に、当会の弁護士は一人3~5つくらい委嘱され、活動を行うこととなります。多くの委員会では、昼や夕方に会議が開かれ、1時間から2時間、場合によっては議論が3時間に及ぶこともあります。会議自体は月1回の頻度で開かれるのが通例ですが、課題を持ち帰り、業務の合間を縫ってこなしていく、ということになります。また委員会内に小委員会を作り、小委員会の会議を開催する、ということになれば、さらに会議の数が増えることとなります。またシンポジウムや集会、研修会を企画することもしばしばで、その準備のための業務に多くの時間を割くこととなります。

委員会は、九弁連や日弁連にも設置されていますので、委嘱を受ける委員会はさらに膨れます。

弁護士会の主要な業務は、このような委員会活動にあります。個々の弁護士は、個人の受任事件のほか、弁護士会の委員会活動を通して、弁護士法第1条に定める弁護士の使命、すなわち、基本的人権の擁護と社会正義の実現に奉仕している、というと少し恰好が良すぎるかもしれませんが、皆、そうした思いで弁護士会の業務に従事しています。

5 弁護士会の活動の中身が少しわかっていただけましたでしょうか。

以上、委員会活動の観点から、弁護士会の活動を説明しましたが、弁護士会には、もう一つ重要な役割があります。それは「弁護士自治」です。

次回は、「弁護士自治」について、お話しましょう。